『ジャイロスコープ』あらすじ(どんな本か)
短編集のあらすじっていうのもなんなので、今回はどのような本なのかの説明にします。
伊坂幸太郎さん自身がデビュー15周年に文庫のおくりもの的なものを作りたかったということで集められた短編集。
8つのバリエーションに飛んだお話はミステリーあり、SFあり、人情ものあり。
著者っぽい作風のものからあれ?こんなお話書くんだというものまで様々です。
新しい伊坂さんが楽しめました。
『ジャイロスコープ』感想
伊坂さんの小説によくある、最初にジャイロスコープの辞書の意味のようなものが載せてあります。
これに引っ張られて、それぞれの短編にこの意味があるのかと意味もなく注意深く読んでしまいました。
あとがきのようなものを読んだ結果、純粋にそれぞれを楽しめばいいだけでした。
(疑い深い性格)
掲載されている7作品の中から3つを抜き出して感想を書いていきます。
読後感が最高♪「1人では無理がある」
あるイベントに向かって全力で準備をする大企業のお話。
途中からもしかしてこの人たち…と早い時点で種明かしがあります。
確かにこのイベントを本気で行うなら緻密な計画と高い技術や身体能力が必要です。
今後この世界的に有名なこの人を見たら、実は脱いだらマッチョですごい体なのかもと思っちゃいそう。
そしてあらゆる部門のエリートを集めたこの会社に似合わない人物が1人。
松田は仕事でいつも伝説的なミスを起こすうっかり者の社員。
ですが最後にいい仕事するんです。
読んだ時は「おっしゃぁぁぁ!まつだぁー!!!」とガッツポーズしたくなります。
パズルのピースがはまっていくような心地よさを感じる作品です。
伊坂幸太郎っぽくない不思議ワールド「ギア」
”セミンゴ”という未知の生物から逃げている人たちのお話ですが、伊坂幸太郎さんの作品としては珍しい印象です。
不思議なキャラクターが出てきて説明も何もなく、不思議が不思議のままで終わっていく様子は村上春樹さんっぽいです。
村上さんの本に入ってても納得しそう。
(伊坂幸太郎さんと村上春樹さんは作風は違うけど文体が似ていると私は勝手に思ってます)
〆は伊坂幸太郎ワールド全開でワクワクが止まらない「後ろの声がうるさい」
あ!あなたは!と知り合いに会った感満載です。
「ホワイトラビット」を読んだ際にもブログに書きましたが、伊坂幸太郎さんの作品を読むときの楽しみがうまい具合に短編たちをひとつにまとめています。
この短編集の為に書き下ろしたとのことで納得。
『ジャイロスコープ』はこんな人に読んで欲しい
短編集は旅行に持っていくのがいいという持論があるのですが(移動や話しかけられて読書を中断されても大丈夫なことが多いので)これは旅行には向きません。
世界に引き込まれるので途中で邪魔されるとムッとしちゃうから。
いろんな伊坂さんに出会えて得した気分になれる本です。