この本を読んだきっかけ
ちらりと本屋で手に取った時に、職場で起こったことがまさにこの本に出てくることだった為、対策を知りたくて読みました。
私の職場で起こったこと
働いている職場のグループはとっても忙しいが雰囲気は良く助け合って仕事をしていた。
2年ほど前に入ってきた人が自分の利益優先で自分が楽になれば他人が困っていてもお構いなし。
一気に職場の雰囲気が悪くなり協力体制を取りにくくなりました。
この本を読む目的
・職場で起こったことの正体を知りたい。
・職場にいる自分勝手な人に都合よく使われるのは嫌だが、それを気にしてギスギスするのも嫌だ。私はどう行動すればいいのかヒントが欲しい。
この本の基本的な考え方
まずは世の中には3タイプの人たちがいるとのことです。
- ギバー(与える人)
- マッチャー(バランスを取る人)
- テイカー(奪う人)
ギバーは自分の利益よりも他の人や集団の利益を優先することができる人。
とても成功している人と、成功していない人の両極端に分かれる。
マッチャーは与えてくれる人にはお返しする、でも奪う人にはしっぺ返しをしたいタイプ。
マッチャーがいることでテイカーに歯止めがかかっている。
テイカーは見返りを求めて与えることはあっても、基本的には自分の利益だけを考えている人。
悲しいことに仕事では、日頃ギバーやマッチャーでいる人でも、テイカーのように振る舞う人が増えるということです。
テイカーの方が簡単に成果を上げられるという真実
この本を読み進めていけば行くほど悲しい真実に気づいてしまいました。
著者は使われるだけのギバーではなく、自分を消耗しないギバーになるように進めています。
そのようなギブができる人は大きな成功を収めるとも。
もちろん誰だってテイカーと仕事をするよりはギバーと仕事をしたい。
でも、大成功ではなく、そこそこの成功であればぶっちゃけテイカーの方が得をやすいのではないか?
実際に接客業をやっていた時はそういう事例をたくさん見ました。
お客様の話を聞いてベストな商品を選んであげている人よりも、店から売れと言われている商品一択でガンガン勧めている人の方が優遇されていました。
長い目で見たら丁寧な接客をする人にリピーターがつくのかもしれないけれど、その場限りだけなら強気に勧める人の方が成果が上がっていた。
それに自分勝手に自信満々に振る舞う人の方が有能な人間に見えるという傾向があるそう。
自分勝手で人のことを考えない方が得をするなんてなんだか納得がいきません。けどそれが世の中の真実なのかもしれない。
仕事でのギバーの在り方に疑問
そもそも仕事でのギバーって?という疑問もあります。
本当にギバーになるなら、それはもう報酬に繋がらずボランティアになるのでは?
そこの線引きってどうなるんだろう?
私の考えが極端すぎるのかもしれないし、私の周りでギバーで成功している事例がないからピンとこないのかもしれない。
ギバーでありながら自分の利益もきちんと守るってことは本当に可能なのだろうか?
読みながらずっとモヤモヤしてました。
消耗し続けるギバー
ギバーは人に親切しすぎて、自分の時間や労力を人に割き自分を消耗してしまうとのことです。
すっごく分かる気がする。
1人や2人のテイカーから奪われる場合もあるし、悪気ない沢山の人達を相手にして消耗することもあるとのことです。
私も後者のタイプかもしれません。
成功とまでいかなくても時間に追われヘトヘトに消耗することは避けたい。
それを防ぐ方法はないのでしょうか?
ギバーがギバーであり続けながら消耗しない方法
「5分間でできる親切」
消耗することを防止するためには「5分間でできる親切」をするということだそうです。
成功しているギバーは5分でできるくらいの、自分の負担にならない親切を見返りを期待しないで行っているそうです。
恩送りをするつもりで行動するのがいい。
これが巡り巡って関係は薄いが良好な人間関係を作りギバーを助けてくれるようになるとのことです。
例えるなら電車で席を譲る時に元気な人がお年寄りや妊婦さん、体調が悪そうな人に席を譲るのは負担にならない親切。
自分も体調悪くて大変なのに席を譲ろうとするのが自分を消耗する親切。
行為は同じでも自分の負担は全然違う。
成功しているギバーはできることが増えてくるから、さらに簡単に人の役に立つ親切ができるようになるんでしょうね。
そしてこれは自分が組するグループの他人の行動に影響を与え始めるそうです。
こうなってくると、とってもいい関係が築くことができます。
「他者思考」
ギバーがギバーのままで交渉や営業を成功させる方法
ギバーが人に親切にすることは簡単ですが、商品を販売したり、自分の収入の交渉をしたりする場面はとっても苦手。
自分が我慢すればいいと思ってしまうそうです。
わかるー。
そこで大切なのが「他者思考」
自分の為ではなく、会社のため、仲間のため、家族のため、自分の後ろにいるたくさんの人たちのために正当な利益や評価を得られるように交渉する。
人のために頑張れるギバーならではの考え方です。
なるほど……考えたこともなかった。
ギバーの才能
ギバーは人を育てることが得意
自分のことしか考えないテイカーと違ってギバーは人のことを考える。それが人のいいところを見つけることができる
人のことを自分の喜びにできるギバーならではです。
他人の協力を得やすい
ギバーは自分の利益を追求しないから他の人に好感を持たれやすい。
また自分を主張しないから意見を取り入れられやすいとのこと。
粘り強い・我慢強い
「消耗しない方法」のところで出てきた他者思考が上手くはまるとギバーは驚くような頑張りをみせます。
テイカーが諦めてしまうようなことでも粘り強く続けることができるそうです。
このようなギバーの才能を上手く活用できれば成功できるそうです。
テイカーをギバーのように振る舞わせる方法
テイカーを本当にギバーに変えることはできなくても周りを自由に食い物にしないようにセーブさせることはできるそうです。
その方法は「体面を気にさせる」
テイカーとして振る舞えば自分の損になるという環境を作ってしまう。
自分だけ目立って得をしているとマッチャーより制裁を受ける可能性があります。
また、テイカーは権力に擦り寄ることが多いので上司の目も気にするそうです。
この方法はとても有効だと感じました。
この本を読んでいる途中で、職場のテイカーが、以前は2人態勢でやっていた仕事の取りまとめを一人で負う状況がでてきました。
テイカーが何かと仕事と責任を押し付けていたもう一人の取りまとめ役が人事異動で別の場所へ。
グループが上手く回っているかはそのテイカーの責任になってきます。
そうなると手のひらを返したようにチームに働きかけ、いじわる&食いものにしていた人にも優しくアプローチ。
びっくりです。
よくもまぁ……と呆れましたが本当に体面や権力は効果的なんだとわかりました。
この本はギバーが上手く生きていくための指南書である
最初にこの本を読み始めた時、サブタイトルの『「与える人」こそ成功する』をみたので成功するためにギバーになろうねって本だと思いました。
そのために途中までずっともやもやしてました。
なろうとしてギバーになったらそれはギバーではないのではないか?
簡単に安直に、利益を得るなら正直テイカーになるのが一番手っ取り早いんじゃないか?
でも読み進めるうちに別の考えになってきました。
この本はギバーになろうねっていうことよりは、ギバーでしか生きられない人を少しでも楽にするために書かれたものではないか。
得だからと言ってテイカーになれれば、多くのギバー(もしくはマッチャー)の人たちは、悩んでいないと思います。
テイカーに搾取されて悩んでいるギバーを助ける、または仕事でマッチャーやテイカーのように振る舞わないとやって行けずにでも悩んでいる。
そんな人たちの心を軽くするために書かれた本、そう思って読むとすっと内容が入ってきました。
すべての悩んでいるギバー(良い人)たちにおすすめの本です。